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Paxata社講演、米国金融業界の最新データプレパレーション活用事例

ここ数年の金融業界では、フィンテックの拡大によるDXが進んでいます。特に保険業界におけるGAFAなどのデータネイティブな新規プレイヤーの台頭は、既存プレイヤーの脅威となっています。今後は、既存プレイヤーにもフィンテックの活用による業務プロセス効率化やマーケティング強化が求められるでしょう。

こういった金融業界のトレンドをふまえ、2019年12月に開催された「DNP Financial DX Executive Seminar」におけるPaxata社のセミナーレポートをお送りします。
1. Paxataとは?企業概要とビジョン
Paxata社は2012年に設立されたデータプレパレーション領域のソフトウェア開発企業です。AI、データアナリティクス、MA分野などの業務経験を持つ約100名のメンバーで構成されています。

Paxata社では、「ビジネスユーザーが、自ら、自社データを活用・管理することが可能な環境を提供する」ことをミッションとしています。
 具体的には、金融業界の既存プレイヤーに属するビジネスユーザーが、自らの思考をスピーディーに具現化できるよう、データの民主化・自由な活用・フレキシビリティに配慮した情報管理プラットフォームの提供を目指しています。また、データの民主化・自由な活用・フレキシビリティによってビジネスに混乱が起きないよう、ガバナンスとのバランスにも配慮しています。
日本市場へは、株式会社アシストとのパートナーシップで2016年より参入しています。
1-1. Paxata社の5つのビジョン
Paxata社では、次の5つのビジョンをもとにサービスを提供しています。
  1. データを活用し、ビジネス価値創出が可能な環境の提供
  2. 従来のRDBMSを用いたシーケルなデータ分析に加え、IoT・SNS・企業内のDB・Excelデータなどを織り交ぜたノンシーケルなデータ分析環境の提供
  3. データクリーニング整形作業の効率化を促すデータプレパレーションの提供
  4. 膨大なデータ管理のための分散、インメモリー技術の活用
  5. マルチクラウド、ハイブリッドクラウドな環境に適合するクラウドネイティブなアーキテクチャの提供
これら5つのビジョンをもとにソフトウェア開発を進めた結果、Paxata社のサービスは世界の有力企業100社に対し、インテリジェントな情報管理プラットフォームの提供に成功しています。
2. 金融業界のトレンド
現在の金融業界(銀行、保険、証券)は変革期であり、新規プレイヤーが台頭しています。新規プレイヤーとはGAFAをはじめとするデータネイティブな企業群です。
Paxata社では、金融業界(特に保険業界)において、新規プレイヤーと既存プレイヤーの違いについて次のように分析していました。
新規プレイヤーの強み
  • データネイティブであり、レガシーシステムから生ずる問題がない
  • データ分析を活用した、迅速なサービスおよびプロダクトの提供が可能
  • SNSやモバイル、クラウドを活用した新しいサービスとプロダクトによって市場を変革する力を持っていること
既存プレイヤー(銀行、保険、証券企業など)の強み
  • 金融業界の専門知識を持ち、規制に対応するノウハウが豊富である
  • 顧客に関する粒度の細かいデータを大量に保持している
以上の事柄をふまえ、既存プレイヤーがデータネイティブな新規プレイヤーに対応するためには、専門知識をいかしながら規制に対応できる情報プラットフォームの活用が必須と結論付けていました。
また、Paxata社では、すでに海外の有力な金融企業に対して新しい情報管理プラットフォームを提供しており、その具体的な事例についても紹介がありました。
3. Nationwideインシュアランスの事例:エンタープライズデータの管理・活用体制の構築
Nationwideインシュアランスは、米国トップ5に入る保険企業ですが、データネイティブな新規プレイヤーによる市場破壊に直面しました。そこでトップの意志により、DXを会社全体に行き渡らせ、すべての従業員にデータドリブンな環境を提供することを決定したそうです。特にクラウド活用、データ民主化により、新規顧客獲得や解約率低減、クロスセル・アップセルの機会創出に注力しています。
3-1. エンタープライズデータオフィスの創設に着手
同社の取り組みの中で特に注目すべきは、「エンタープライズデータオフィスの創設」です。

エンタープライズデータオフィスは、同社内においてエンタープライズデータの管理者やビジネスコンサルを行うメンバーで構成され、社員に対してデータ活用サポート・アドバイスを提供しています。
エンタープライズデータオフィスの設置後、2017年より同社の社員25人がセルフサービスによるデータプレパレーションを開始し、毎月7%の割合で使用者が増加。現在では約1000人に対して、セルフサービスによるデータ分析・活用を行える環境が整い、5000以上のプロジェクトが完了しています。
この施策の根底には、Paxata社が開発したデータライブラリがあり、膨大なビジネス価値の創出に貢献しています。
3-2. エンタープライズデータオフィス創設によるDX対策の効果
Nationwideインシュアランスでは、Paxata社のシステムを活用した前述の施策実施により、 以下のコスト削減を実現しています。
  • プロジェクト全体として700万ドルのコスト削減
  • 不要なアプリケーションデータの削除によって10万5000ドルのコスト削減
  • 2チームの合計でフルタイム労働者の労働時間を5200時間短縮し、労務費を40万ドル削減
特に3つ目については「Nationwideインシュアランスには76チームが存在するため、労務時間・費用の削減は全社合計で38倍の効果が見込める」と強調されていました。
4. Argoインシュアランスの事例:グローバルBOB作成を自動化
Argoインシュアランスは、英国バミューダ領を本拠地としてスペシャルティーインシュアランス(特殊保険事業)を展開する保険会社です。従業員は約1500人、年間15億ドルの売上があり、映画・音楽イベントの失敗、キャンセルなどに関する損害を補填する保険サービスを提供しています。
 
Argoインシュアランスは多国籍企業のため、顧客は世界中に存在しています。したがって、全世界共通の包括的な顧客情報管理が必須です。しかし同社には、そのようなグローバルな顧客リストが存在せず、保険の請求や引き受けポリシーなどを一覧的に管理できるグローバルビューがないという課題を抱えていました。
そのため、Excelベースでの顧客情報管理は行っていたものの、オフィスごとにフォーマット・通貨・測定メトリクス、時差、会計年度の違いなどがあり、その集計に多くの人手や数週間もの時間を要していました。
4-1.グローバルBOB作成プラットフォームの提供
こうした顧客情報の管理・集計の手間を削減するため、同社ではグローバルBOB(Book of Business=顧客リスト)作成プロセスの見直しを進めています。
Paxata社では、まず同社のグローバルBOB作成プロセスが円滑に進むように、セキュリティで保護・監視されていないExcel を排除し、制御・監査可能なプロセスを持つデータファイルへの置き換えを進めました。その上で、集計プロセスの自動化や、信頼性の高い データリポジトリ提供などを行いました。
4-2.グローバルBOB作成プラットフォームへの移行効果
こうしてグローバルBOB作成プラットフォームへの移行が完了し、グローバルBOB作成にかかる時間は従来の数週間から1日以内にまで短縮されました。また、新しいグローバルBOBは、全世界の顧客情報を一覧表示できるほか、アップデートをリアルタイムに反映するダッシュボード機能、BIとの連携機能などを備えています。
さらに、任意の地域における最も収益性の高い顧客、製品、地域を確認できるようにになったことも見逃せません。
 
Paxata社によれば、スペシャルティーインシュアランス事業の成長には、通常の企業とは異なったアプローチが必要なのだそうです。通常の企業であれば、ビジネスの成長のために価格の見直しやコスト削減などを行います。
しかしスペシャルティーインシュアランス事業では 、自社のサービスと提供される地域との相性を知ることが重要であり、全世界共通の包括的な顧客リストの作成によって、「収益性の高い顧客、製品、地域」の組合せを知ることがビジネスの成長につながるとPaxata社は考えています。このように事業分野ごとの特殊性を考慮した戦略眼も、Paxata社の強みのひとつなのかもしれません。
5. 金融業界におけるデータ分析における課題
Paxata社では、金融業界におけるデータ分析には、以下5つの課題があると考えています。
  • 必要なデータの抽出と所在の把握が困難なこと
  • データの結び付け、関連付けの方法が整理されていないこと
  • クライアントへの早急なインサイト(購買意欲を刺激する情報)の提供に応じる必要があること
  • 同じプロセスの繰り返しによって時間と手間がかかること
  • 専門家の流出によってデータ管理が困難になること
5-1.Paxataが提供する解決方法
Paxata社では、これら5つの課題を解決するため、以下のような特長を持つソリューションを提供しています。
  • 金融機関が保持する膨大な顧客情報(口座残高、リスク指標、顧客ID、セグメントコード、国コード)などを一元管理
  • マシンラーニングによる迅速なデータ分析とインサイト発掘
  • データプレパレーション自動化による新規追加データ処理作業の短縮
  • 属人性を排除したデータ管理プラットフォームの構築(人材流出があってもノウハウが喪失しない仕組みの提供)
6. まとめ
今回は、DNP Financial DX Executive SeminarにおけるPaxata社のセッションをふまえ、海外の金融業界における情報管理プラットフォームの活用事例を紹介しました。Paxata社が提供する情報管理プラットフォームは、「顧客情報管理」や「マーケティング施策」などの他にも、「マネーロンダリング対策(AML)」や「FATF(金融活動作業部会)からの指導・指示」にも対応しています。
 
日本においてもデータネイティブな新規プレイヤーによる新しい金融、保険サービスが提供されはじめており、「金融デジタライゼーション」の最中にあります。このような状況の中、既存プレイヤーには「専門知識」と「長年にわたり蓄積された顧客情報」という2つの強みを、収益に繋げていく施策が求められます。こうした施策を成功させるには、Paxata社が提供するような情報管理プラットフォームの活用が必須なのかもしれません。
 
本レポートが、皆さまのデジタルマーケティング活動において、少しでもお役に立つ情報となれば幸いです。

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